一般社団法人
日本細胞生物学会Japan Society for Cell Biology

新着細胞生物学用語集(2011-10-06)

M細胞、GP2
【Microfold cell (M cell)、Glycoprotein2 (GP2) 】
大野 博司
理化学研究所・横浜研究所 免疫アレルギー科学総合研究センター(RCAI)
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Microfold cell (M cell)はパイエル板を始めとする粘膜関連リンパ組織を覆う特殊な上皮層に点在する抗原取り込み細胞である。M細胞は周囲の腸管吸収上皮細胞とは形状が異なり、微絨毛が短く疎で、基底膜側は免疫細胞を抱え込むための陥凹した空間を持つ(図1)。このような特徴により粘膜組織に侵入した外来抗原を免疫細胞へと効率よく受け渡すことができる。
Glycoprotein2(以下GP2)はGPI-アンカー型タンパク質の一つで、膵臓腺房細胞に限局して発現する機能未知の分子として同定された(文献1)。その後の研究からマウス、ヒトのM細胞の頂端面細胞膜に発現することが見出され、1型線毛の先端に表出するFimHタンパク質を認識することが明らかとなった(文献2)。M細胞においてGP2は1型線毛を持つ細菌を選択して認識し、細胞内へと取り込むための受容体であり、粘膜免疫にける免疫監視において重要な役割を担う分子である(図1)。
参考文献
文献1. Fukuoka S, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 1992 Feb 15
89(4):1189-93.

文献2. Hase K, et al. Nature. 2009 Nov 12
462(7270):226-30.

理化学研究所、免疫系構築研究チーム

抗体情報:販売元MBL

Anti-GP2 / Glycoprotein2Anti-GP2 / Glycoprotein2 (Mouse)

FCMR/FAIM3/TOSO
【FCMR/FAIM3/TOSO 】
大野 博司
理化学研究所・横浜研究所 免疫アレルギー科学総合研究センター(RCAI)
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FCMR/FAIM3/TOSOはFas仲介型のアポトーシスを阻害する因子として発見された分子である。その後、他のFc受容体とのアミノ酸配列の相同性から、IgMと結合する受容体として同定された(1)。PreB細胞以降のB細胞の成熟過程で発現していること(参考文献1,  図1)や、慢性リンパ球性白血病での発現量の増加(参考文献2)その発現がB細胞のシグナリングによって調節されていること(参考文献3)などから、B細胞の活性化や、シグナリングに影響を与えていることが予測される。
参考文献
(1)Shima, et al. Int. Immunol. (2010)

(2)Proto-Siqueira, et al. Blood (2008)

(3) Pallasch, et al. Blood (2008)
抗体

M-Sec/TNFaip2/B94/EXOC3L3
【M-Sec/TNFaip2/B94/EXOC3L3】
大野 博司
理化学研究所・横浜研究所 免疫アレルギー科学総合研究センター(RCAI)
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正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をTNFα処理することによって発現上昇する遺伝子として始めに単離された、Sec6ファミリーに属する細胞質蛋白質。発生段階における造血系組織、精子の先体に高く発現する。低分子GTP結合蛋白質RalAとエキソシスト複合体と協調して、膜ナノチューブ形成に関わる。
参考文献
Nat. Cell. Biol. 11 (12), 1427-32, J. Biol. Chem. 269(5), 3633-40,

CD分子
【Cluster of differentiation (CD) molecules】
大野 博司
理化学研究所・横浜研究所 免疫アレルギー科学総合研究センター(RCAI)
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いくつかのモノクローナル抗体が、細胞表面の同じ抗原を認識することがあるので、混乱を避ける為にそうした抗体群を、同じ番号・記号で国際的に統一的に分類したものCD分類と呼ぶ。転じてモノクローナル抗体群が認識する同一の細胞表面抗原の名称にも用いられ、CD分子 (CD抗原)と呼称される。数年に一度開催される、human cell differentiation molecules (HCDM)のワークショップにより番号が決定され、2011年9月現在、CD1-CD350の350種類が決定されている。例えば、CD名CD1aは、CD1A抗原と記述され、CD1A抗原を認識するモノクローナル抗体のクローン名はLeu-6、O10、HI149の三種類である。いずれもHCDMのホームページに詳しい。(HCDM)
各モノクローナル抗体の供給先 (9社)も、CD分類別・モノクロナール抗体別に丁寧に記載され、リンクが貼られているので参照されたい。

腸管ループアッセイ
【ligated intestinal loop assay】
大野 博司
理化学研究所・横浜研究所 免疫アレルギー科学総合研究センター(RCAI)
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麻酔下の実験動物を用いて、生体組織の応答を、直接的に観察する実験手法。主に、パイエル板を含む小腸で行われる。まず、小腸のパイエル板を含む部分の両端を結紮し、生体条件に近い状態の閉空間を作る。この閉空間に試薬や菌液を充填し、組織との作用を観察する。組織が生きた状態でしか見られない応答(エンドサイトーシス等(1))を観察するのに適した手法である。
参考文献
(1)Hase, et al. nature (2009)

膜ナノチューブ
【membrane nanotubes】
大野 博司
理化学研究所・横浜研究所 免疫アレルギー科学総合研究センター(RCAI)
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樹状細胞、T細胞などの免疫系細胞に見られる細胞構造。異なる二つ以上の細胞をつなぐチューブ構造であり、細胞膜から形成される。直径が数十〜数百ナノメートルの比較的細い物から、数マイクロメートルの太い構造が確認されている。細胞内カルシウムシグナルの細胞間伝播に働く、とともに、異常プリオン、HIVウィルスそれ自身もしくはウィルス由来の病原性蛋白質の細胞間伝播に関わると考えられている。他にtonneling nanotubes (TNTs), Cytoemes とも記載される。図はRaw264.7細胞の細胞膜を染色した図。細胞同士をつなぐ細長いチューブ構造が確認できる。
参考文献
Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 9 (6): 431?6., Histochem. Cell Biol. 129 (5): 539?50.

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