一般社団法人
日本細胞生物学会Japan Society for Cell Biology

第45回日本発生生物学会・第64回日本細胞生物学会合同大会ランチョンワークショップ「研究者のキャリアパス」

開催日

2012年5月29日(火)12:10-13:00

講師と講演タイトル

工樂樹洋 博士(理研CDB)
    「ドイツで見た桜-キャリアを創っていくということ」
玉井馨子 博士(第一三共株式会社)
    「Academia or Industry?(Planned Happenstance のすすめ)」

司会

斉藤典子(熊本大学・発生研)・小柴—竹内 和子(東京大学・分生研)

企画意図

生命科学分野の若手研究者における職探しは、依然として厳しい状況にあり、学位を取り、留学してもポジションが見つからないために帰国することができない、またそのために若手研究者は留学することをためらうというような負の連鎖が生じています。しかし、留学に限らず、研究生活で得られた経験は、アカデミックだけでなく企業や海外でも活かせるのではないでしょうか。海外で独立することはチャレンジングで、言葉や習慣の違いなどの障壁もありますが、多くのメリットも存在するはずで、実際、最近は海外で研究室を主宰(PI)し、活躍している日本人研究者が増えています。本ワークショップではドイツでPIを経験されたのちに理研のPIになられた工樂博士と、アメリカでPIを経験されたのち企業に就職された玉井博士をお招きし、アメリカとヨーロッパのラボ運営が日本とどう違うか、また玉井博士には企業とアカデミックとの違いなどについてお話いただく予定です。これから留学や就職を考えている若手研究者、その指導教官の方々にはぜひ参加していただき、将来を考える際の参考になればと思っております。

後記

日本細胞生物学会第64回大会合同大会(第一日目)にて日本発生生物学会男女共同参画ワーキンググループと共同で、ワークショップを開催いたしました。「研究者のキャリアパス」と題して、海外や企業における研究生活について討論する場となりましたが、100人程度を収容する会場はほぼ満室、盛況で、老若男女、職位を問わず関心が高い課題であると推察されました。
まず、大学院修了後に理研CDBでポスドクを経験され、その後ドイツでassistant professorに就任し、現地の大学生の教育にも携わった工樂先生が、生活や習慣の違いなどにも触れながら、フランクにその体験をお話しされました。次に、大学院を修了後に米国に渡り、ポスドクを経験しそのまま米国でassistant professorのポジションにつかれた玉井先生には、米国での緊張感あふれるジョブハントの様子や、企業が求める人材などについて迫力のあるお話しをいただきました。どちらも大変印象的でした。経歴にそって、どのような状況にあった時にどう考えて、どのキャリアを選択したかなど、臨場感ある踏み込んだお話をきけて、参考、刺激になりました。今回は、合計50分のワークショップで、質疑応答に充分な時間を配分することが困難でしたが、フロアからは、「講師にお迎えした先生方はモチベーションが高く元気があるので、このようなキャリア形成に至ったように思われるが、標準的でやや消極的な大学院生をそのように方向づけるにはどうしたらよいか」など、課題を残す質問が出ました。また、「日本と海外、という線引きをするのではなく、日本も海外の中のひとつと捉えて視野を広く持つとよい」など、様々なコメントもあり、活発に議論が交わされました。 文責:斉藤典子

ワークショップアンケート結果

日本細胞生物学会賛助会員

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