一般社団法人
日本細胞生物学会Japan Society for Cell Biology

Vol.17 January (9) 月田君の死を悼む

西田 栄介

 2005年12月11日、京大教授の月田承一郎君が、がんのため亡くなった。日本細胞生物学会の、いや世界の生命科学、生物学のトップランナーを失ってしまった。私にとっては、30年来の友人を失ってしまった。大学および大学院時代、学部は異なっていたが、彼と私は同学年で、ともに細胞骨格の研究からスタートしたため、当時の班会議などで頻繁に顔を合わせた。月田君は、そのころからすでにスーパースターになる気配を漂わせていた。プレゼンテーションも当時からずばぬけてうまかった。上手なプレゼンテーションはややもすると鼻につくこともあるものだが、彼のプレゼンテーションはそういうことはなく、真摯な姿勢が伝わってきて感じがよかった。私は、彼の講演を聞くたびに、研究に対する自分の気持ちがリフレッシュされ、やる気が湧いてきた。それはずっとそうだった。その刺激的な講演がもうないのか、と思うと本当に残念であり、悲しい。もちろん気配を漂わせていただけでなく、言うまでもないことだが、彼は極めて高い能力をもっていた。彼の興味を出発点としている研究の着眼点が、常に生物学の本質的に重要な事柄にまっすぐに向かっていて、オリジナルであった。そして、この文を読まれている方は皆さんよくご存知のように、タイトジャンクション研究のブレークスルーを行い、歴史に残る成果を挙げ、科学の進歩に偉大な貢献をした。

 先日の朝日新聞の写真にも奥さんの月田早智子さんとのツーショットの柔和な笑顔の月田君が載っていた。シャープであるのに温和で、裏表のない気持ちの良い飾らない人柄で、いつも本音で話ができた。ご冥福を祈る。


(2006-01-31)

日本細胞生物学会賛助会員