一般社団法人
日本細胞生物学会Japan Society for Cell Biology

Vol.21 April,May & June (2) 会長就任に際しまして

米田 悦啓 (大阪大学大学院生命機能研究科/医学系研究科)

 本年4月より、西田栄介先生の後を受け、日本細胞生物学会会長に就任致しました。すでに、引き継ぎ幹事会を終え、第1回幹事会、第1回運営委員会を開催しました。これまで、学会誌CSFの編集委員長や副会長なども務めてきましたが、やはり、学会の責任者になることの重みは予想以上のものがあります。この2年間、その重みに潰されることなく、会長の責務を果たしたいと考えています。

 私は、岡田善雄先生の研究室で大学院をスタートしたこともあり、「学会と言えば、日本細胞生物学会」という環境で育ってきました。毎年、細胞生物学会大会には必ず参加し、余裕があれば他の学会にも時々参加するということがごく自然な状況でしたので、まさに、本学会に育てていただいた研究者の一人と言えます。もちろん、最初は一学会員として大会に参加して発表することだけが学会活動でしたが、廣川信隆会長の時に選挙管理委員を仰せつかったことをきっかけにして、学会の運営にもタッチするようになり、その後の永田和宏会長の時には庶務幹事を務めました。その後、中野明彦先生の後任として、CSF編集委員長に指名され、昨年、副会長に選出していただきました。CSF編集委員長は4年目に突入しています。この間、おそらく10年くらいの間、運営委員会などに出席しつつ、学会の運営に携わってきましたが、実にいろんなことを経験しました。大会の開催時期を秋から春に移す、CSFを廃刊にするかどうかという議論の中から完全電子ジャーナル化へと方向転換する、大会の公用語を英語にして国際的な大会を目指すなどです。これらの変革は、それほど大きな学会ではないからこそ、機動的にできたことなのでしょう。

 学会内で激しい議論を戦わせることからいろんな変革が生まれましたが、議論の結果が尾を引くことなく、決まったことに対してみんなで前向きに進んでいくことができているのは、この学会が持っている誇るべき体質だと思っています。私の最大の仕事の1つは、この学会の素晴らしい雰囲気を次世代にまで引き継ぎ、学会内外の方々から、「細胞生物学会は心地よい雰囲気の学会だなあ」と思い続けてもらうことだと考えています。  そのため、全く何もしないというのも1つの選択肢ですが、この10年くらいの経験から、いくつかトライしてみたい懸案事項があります。一番重要な問題と捉えていますのは、会員の数と気質の問題です。会員数は、常に変動しておりますので、正確なことは言えないのですが、現在は、1300名程度だと思います。気になっておりますのは、徐々にではありますが、減少傾向にあることです。どれくらいの会員数が最も良いのかは意見が異なるとは思いますが、一定のアクティビティーを保ちつつ、若手研究者に魅力のある学会でありつづけるためには、細胞生物学という学問の大きさ、多様性から考えても、「数」の持つ意味は大きく、継続的に議論すべきではないかと考えます。これまでも、何度か会員数の問題は学会内で話題にのぼり、その都度、歴代の会長が、将来計画委員会やワーキンググループを設置され、議論されてきました。しかし、どうしても、ある会長の諮問委員会での議論になりますと、議論の連続性は保証されない可能性が出てきます。また、会員の「数」の問題だけではなく、会員の多くが毎年の大会に必ず出席して、情報交換しようと思っているかどうかという「気質」の問題もあります。私の乏しい情報からの判断ではありますが、他のいくつかの学会に比べて、会員が大会に参加する割合が低いのではないかと感じています。それは、細胞生物学という学問が様々な学問の基本になっていることが、逆に短所となり、他の学会の大会に参加することで類似の情報が得られるため、あえて本学会の大会に毎回参加しなくてもよいと判断される会員が少なからずおられるのではないかと推察します。やはり、このような重要な問題は、継続的に議論できる場が必要で、そのような場としては、運営委員会がその役割を果たすべきだと思っています。全会員の選挙によって選出された評議員百数十名の投票によって選ばれる運営委員の果たすべき役割は重く、学会全体のことを常に考える責務があると思います。その意味で、今後、運営委員会の活動をより活性化させていきたいと思っており、先ず、その第一歩として、会員の現状分析(どこの大学、どの学部に所属されている会員が多いかなど)から始めることを考えています。

 それ以外にも、大会の規模や運営方法、大会と学会の関係、ホームページの充実による学会の宣伝など、検討していくべきことが多く頭に浮かんできます。また、廣川先生から、アジア太平洋細胞生物学会(APOCB)マニラ大会への参加、EMBO Meetingとのジョイント、中国細胞生物学会との関係強化といった宿題も頂戴しており、積極的に進めたいと思っております。是非、会員の皆様からのご意見やアイデアなどをいただければと思います。

 これらの懸案は、もちろん、私一人の力では解決することはできません。庶務幹事には、大阪大学の吉森保氏、東京大学の大杉美穂氏に就任していただき、会計幹事には、神戸大学の古瀬幹夫氏になっていただきました。また、会計監査の平岡泰氏(大阪大学)、月田早智子氏(大阪大学)や選挙管理委員の中山和久氏(京都大学)にも積極的に運営に関わっていただき、私の微力を補っていただく予定です。そして、何より、日本細胞生物学会の全会員の皆様のお力添えをお願い致したく存じます。多くの方々のお力をお借りしながら、私が若いころ本学会に惹きつけられたように、若い研究者を惹きつけ続けることができる、より魅力的な学会を目指していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。


(2010-07-08)

日本細胞生物学会賛助会員