一般社団法人
日本細胞生物学会Japan Society for Cell Biology

新着細胞生物学用語集(������)

植物ミオシン
【plant myosins】
山本 啓一
千葉大学理学部生物学科
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現在、ミオシンは二十数種に分類されているが、植物で働いているのはVIII型とXI型である。XIII型というミオシンがカサノリから発見されたがそれはXI型の一種と見なされることになった。VIII型は原形質連絡の開閉やエンドサイトーシスに関与し、XI型はオルガネラの輸送とそれに伴う原形質流動に関与すると考えられている。植物細胞は動物細胞と比べてサイズが桁違いに大きいので、細胞内の物質循環を拡散に任せるわけにはいかず、原形質流動という細胞質の流れを起こしている。この流れは、XI型ミオシンが、小胞体膜のネットワークを引きずりながら、アクチンフィラメント上を滑り運動することにより引き起こされる。車軸藻の節間細胞は長さが数cmもあり、その中では毎秒70マイクロメーターという速い原形質流動が起こっている。この流速は車軸藻ミオシンがアクチン上を動く速度そのものなので、車軸藻ミオシンは筋肉ミオシンの10倍以上の速さで動くことのできる世界一速いモータータンパク質と言える。動かない植物のミオシンが、動くことが特徴である動物の筋肉ミオシンより速いというのはどのような意味があるのだろう。実は、この速さゆえ、車軸藻ミオシンがATPの化学エネルギーを運動に変換する効率は低く、出せる力は筋肉ミオシンと比べるとかなり小さい。原形質流動を引き起こす力はあまり強くなくて良いので、車軸藻ミオシンはエネルギー変換効率を犠牲にして巨大細胞内での物質輸送の速さを追求したものと考えられる。モデル植物のシロイヌナズナにはVIII型ミオシン遺伝子が4、XI型ミオシン遺伝子が13存在する。シロイヌナズナXI型ミオシン遺伝子を1−2個ノックアウトしてもオルガネラの輸送速度や表現系に大きな変化は見られないので、ミオシン間で機能の重複があるようだ。推定される細胞内での役割と対応するように、VIII型ミオシンの酵素活性や運動活性はXI型ミオシンより低い。
参考文献

植物の微小管
【microtubule in plants】
村田 隆
基礎生物学研究所 生物進化研究部門
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 植物細胞の微小管はその構築様式に特徴を持つ。第一の特徴は細胞周期の進行にともなって様々な構造を作ることである。間期の細胞では微小管は細胞膜に沿って並ぶ(表層微小管列、cortical array)。M期が近づくと、微小管は将来の分裂面に沿って帯状に集積する(分裂準備帯、preprophase band)。紡錘体の極は収束せず、樽状の紡錘体ができる。細胞質分裂で細胞板ができる時には、微小管は細胞板を分泌するフラグモプラスト(隔膜形成体、phragmoplast)をつくる。表層微小管列は緑藻を含む多くの緑色植物に見られるが、分裂準備帯は陸上植物の体細胞、フラグモプラストは陸上植物とその近縁の藻類にのみ見られる構造である。第二の特徴は、中心体を持たず、微小管形成が細胞内の様々な場所で起こることである。表層微小管列においては既存の微小管上で新しい微小管が形成されることがわかっている。中心体の喪失は陸上植物の体細胞に見られる現象で、多くの緑藻は中心体を持つ。
参考文献

細胞生物学用語集

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